第94号 <2010年7月7日>
週刊包装ニュース 2010年6月12日(土)2186号
2010年6月12日(土)の週刊包装ニュースにて東京コンテナ工業㈱社長 黑崎 素弘のインタビューが掲載されました。
その記事をご紹介致します。
東京コンテナ工業は、創業家2代目の黑崎素弘社長の就任から5年が経過し、3月23日には創立60周年を迎えた。黒崎社長は4月12日の創立60周年パーティーで、第2創業期として『この創立60周年を期して拡大路線を宣言する』と決意を新たにした。これまでの取り組みと成果、今後の成長計画について聞いた。
---会社の特長は
「創業当時、日本初の段ボールケース「パネロック」を開発し特許を取得するなど、商品開発力が当社の強みであり特長だ。この特長を最大限に活用し、販売促進と付加価値創造に生かすため、まず社長に就任して真っ先に取り組んだのが商品開発力と包装設計能力のレベルアップ。その一環として段ボール製のディスプレイや椅子・テーブルなど、家具、玩具といったデザイン製が高く、環境対応製品でもある「スコペルタ・シリーズ」を開発した。またエンドユーザーの多様なニーズ、市場の動向といった大切な情報は、これまで営業担当者を通じて社内に持ち込まれていたが、デザイン製の高い「スコペルタ・シリーズ」等に関しては、包装設計の担当者がインターネット等を通じて直接ユーザーニーズを吸収し商品開発に反映させるなど、商品の企画・開発から包装設計までの能力アップに繋がっている。レベルアップした商品の企画開発能力、包装設計能力が当社の強みでもあり、創業当時からのDNAでもある。また東京コンテナ工業はオーナー企業と見られているが、創業社長の父(黑崎素行氏)以外で黑崎家から社長に就任したのは私が初めてで、これまで社内もしくは社外から有能な人材を社長に迎えている。東京コンテナ工業は能力主義の半オーナー企業で、次期社長も黑崎家から以外と考えている。また親族以外の女性社員を取締役に抜擢したり、執行役員に起用して権限や裁量を委ねている段ボールメーカーは希有な例だろう」
---社長就任から5年だが、これまでの取り組みと成果は
「当時の板紙・段ボール業界は1980年代後半から始まったバブル景気に酷似しており、売上至上主義が蔓延していた。企業経営で最も大切なのは利益だが、売上高やシェア拡大ばかりで競争し、まるで段ボール業界は我慢比べのチキンレースのように感じた。社長就任当時、こうした状況に危機感を持った。当時の生産量や受注量で営業部門を評価し、『マシンの稼働率が上がれば利益は後から付いてくる』『薄利でも数量を追い求める』とした限界利益の考え方は理解できなかった。受注段階で赤字の製品は何処まで行っても赤字だ。このため限界利益を追求する体質を改善し、売上総利益(粗利)を重視している。一方、生産現場では、生産効率化と技術の伝承に取り組み1ポジションしか操作できないオペレータと、複数ポジションを掛け持ちで担当できる多能工オペレータを区別できるように、帽子の色や服装の色、バッジの色などで熟練度や技能レベルが一目で区別できるようにした。こうした多能工熟練者の育成と共に、5年前の平均年齢41才程度から、現在では平均年齢31才と若返りによる活性化を図りながら、次代を担う若いオペレータに技術の伝承を進めている。」
「これまで商品開発による付加価値の創造や、限界利益から利益率重視へと販売意識を改善したほか、オペレータの技能レベル向上など企業体質の強化に時間をかけてきた。体質強化の取り組みも完了し、漸く受注拡大がストレートに利益拡大に反映できる状況になった。このため販売を拡大したいと考えているが、安売りの衣料品大手であるユニクロとは違う反安売りで販売を拡大したい。単なる安売りの需要拡大では、スペック(仕様)と価格の追求だけになる。当社は売り方の形態や販売チャンネルを変えることで付加価値を創造する方針だ。まず今後はデザイン製の高い商品や、付加価値のある商品開発を進め販売量も取引件数も拡大する。また当社の強みは、独立系段ボールメーカーであり段原紙を何処からでも購入できる点だ。ユーザーにとって主力の段ボール購入先でなくても、第2、第3の購入先、非常時の保険的な役割を担う段ボールメーカーとして安心して選択して貰える余地は大きい。当社を必要とするエンドユーザーからの受注拡大を目指すが、あくまで一定の収益が見込める価格水準、適性価格で受注する」
---今後の展望は。
「製紙・段ボール一貫メーカーのシェアが今後もさらに大きくなるなら、板紙メーカーは付加価値がある原紙の開発を進めて欲しい。そうした原紙が市場に普及する事により、段ボールメーカーは付加価値のある段ボール製品を製造でき、結果的に企業の業績が向上するだろう。まず製紙・段ボール一貫メーカーは、段ボール製品までをも含めた付加価値の向上をはかるべきだし、段ボールメーカーもエンドユーザーのニーズなど、市場の様々な情報を板紙メーカーに提供する事で技術革新が進み、結果として業界全体の価値も向上し、お互いのメリットが享受できる関係になる。段ボール業界は今後5年、10年も発展できる素地は十分あるが、当社は段ボール製のディスプレイや椅子・テーブルなど、家具、玩具といった分野や、ブランドショップでも採用されるようなデザイン性の高い商品開発を進め、新市場の開拓も進める」
---大手と中小の関係をどう見るか。
「社長に就任した5年前は疑心暗鬼にかられたが、当時よりモラールが守られる業界になった。大手段ボールメーカーを長男、中小段ボールメーカーを弟に例えると、どこの兄弟でも喧嘩をするし、喧嘩をしない関係の方が異常だ。また弟が兄貴に何も言えない関係では大喧嘩になるし、兄貴は兄貴らしい態度と行動を取るべきだろう。弟も必要なら兄貴に意見すべきだし、お互いの態度や行動について意見できる関係が望ましい。」
以 上